心理発達科学専攻の第2回「専攻サロン」が開催されました。専攻サロンは、教員や大学院生が研究や関心のあるテーマについて話題提供を行い、参加者同士で自由に意見交換を行う交流の場です。本企画は2016年度にも期間限定で実施されていましたが、今年度より10年ぶりに復活しました。学部生・大学院生・教職員など、さまざまな立場の参加者が集い、研究分野を越えた交流を深めました。

今回の発表者は狐塚貴博先生です。「災害と家族研究の現在地」をテーマに、これまでの研究活動を振り返りつつ, 災害と家族研究の知見をご紹介いただきました。

発表後には, 先生からの話題提供をもとに活発な議論が行われました。
次回の専攻サロンは近日開催予定です。詳細が決まりましたら、こちらでお知らせいたします。
参加者の声
平石先生より
心理発達科学専攻の第2回「専攻サロン」に参加させていただきました。今回の演者は狐塚貴博先生で,題目は「災害と家族研究の現在地」でした。
今回の狐塚先生のお話は,狐塚先生の20年以上にわたるご研究と臨床実践,そして狐塚先生の理論的バックボーンに関するものでした。狐塚先生は講演のはじめに,「何か最終講義みたいだ」と仰って笑いをとっていましたが,狐塚先生にとってのこれまでの歴史と物語をお話いただいたと思います。
狐塚先生は東北大学大学院教育学研究科博士後期課程在学中,日本学術振興会特別研究員の時に,東日本大震災を経験し,その直後から石巻市での支援活動,そして海上保安部本部のアドバイザーの仕事などをされたそうです。狐塚先生は東日本大震災以前から既に心理臨床の仕事をされていますが,狐塚先生にとって東日本大震災は運命を左右する大きな経験だったのではないかと拝察しました。
研究者はそれぞれ異なる動機づけによって研究活動を行っているのではないかと思います。私は今でも自分自身の研究活動への動機づけや原動力について考え,時に揺れ動くことがありますが,狐塚先生にとっては被災と支援活動のご経験が研究の動機づけや原動力になっているのではないかと想像しながらお話を拝聴させていただいていました。
狐塚先生は今回のお話では,被災地での生々しいリアルな光景をあまりお話されなかったような気がします。しかし,私には想像できないような光景を目の当たりにし,支援活動においても,無力さや絶望感などを経験されたのではないかと思いました。しかし,それと同時に人間の生きる力や回復力などを再確認する経験をされたのではないかと想像していました。
話が少し変わりますが,心理発達科学専攻では2008年4月から博士後期課程に心理危機マネジメントコースを設置しています。そのコースの授業の一環として,東日本大震災後に東北大学の若島孔文先生をお招きし,被災者支援のお話をしていただいたことがあります。正確な年月日は忘れてしまいましたが,若島先生のお話はとても衝撃的でした。私はその当時までは解決志向的アプローチや短期療法に対して多少の知識は持っていましたが,それ程,高い評価をしていなかったような気がします。しかし,若島先生のお話を聴いて考えを少し改めたのを覚えています。
若島先生は狐塚先生の博士論文の指導教員です。狐塚先生が名古屋大学に着任されることが決まった時には何か深いご縁があったのだなと思いました。
狐塚先生は,名古屋大学心理発達科学専攻に新しい風を吹き込んでいただいていると思います。今回のお話の最後には,最近の科研のご研究を紹介していただきましたが,とても生き生きと嬉しそうに研究活動を行っていらっしゃることがよく分かりました。狐塚先生の今後益々のご活躍とご発展を心よりお祈りしています。